『大谷翔平』から読み解く””年俸総額1000億円””の“税務戦略”税金の行方とは
大谷翔平の巨額の年俸の税金の行方は?
日本人としてMLB(メジャーリーグベースボール)に挑戦をし、昨年の秋に所属チームドジャースで見事チャンピオンリングを獲得した日本国民全員のあこがれの的(だと勝手に思っている)である「大谷翔平選手」ですが、エンゼルスからドジャースへの移籍時に多額の年俸で契約をしたと報道されたことは皆様の記憶にまだ新しいことと思います。そんな大谷選手の巨額の契約金がどのような内容になっており、年俸に対してどのように税金がかかってくるのかを見てゆきたいと思います。
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大谷翔平、莫大な年俸の衝撃。税金はどうなる?
ドジャースと10年総額約7億ドル(日本円で約1,000億円)の契約を結んだ大谷翔平選手。
史上最大級の契約金額として世界中で話題になりましたが、税理士の視点から見ると気になるのが「税金はどこに払うのか?」という点です。
日本のファンからすると、「日本人なんだから日本で納めるんじゃないの?」と思われがちですが、実は国際税務のルールによって、居住地や収入源に応じて税金を納める国が決まります。
大谷翔平が納税しているのは「アメリカ」
結論から言うと、大谷選手の税金は主にアメリカで納められています。
理由は、彼が現在「アメリカの居住者」として生活しており、所得の大部分(MLBの年俸)もアメリカで発生しているためです
アメリカでは州によって税率が異なりますが、ドジャースの本拠地・カリフォルニア州は全米でもっとも税率が高い州のひとつ(最高13.3%)。加えて、連邦税として最大37%が課されるため、もろもろのトータルでは約50%以上が税金として引かれる計算になります。
とはいえ、大谷選手の契約には「大部分を後払いにする」という特殊な構造があります。実際、2025年に受け取る年俸は約2億9000万円で総額の0.29%程度とかなり控えめな数字となっています。これにより今の課税負担を大幅に軽減しているとも言われています。
つまり、1000億円という数字はインパクトがありますが、実際には「税金・タイミング・為替リスク」まで計算し尽くされた契約なのです。
「日本での税金」はどうなる?
では、日本の税務上ではどうなるのでしょうか。
日本の税法では「1年以上海外に住み、生活の拠点が海外にある人」は非居住者とみなされ、日本国外で得た所得には課税されません。
大谷選手の場合、拠点はアメリカにあり、日本でのCM出演などの一部収入を除けば、所得のほとんどは米国源泉です。
したがって、日本では基本的に米国での納税が完結しており、日本での課税は限定的です。(とはいえ、日本でのスポンサー・CM出演料もとんでもなく莫大な金額になっているだろうことは予測できますが…)
ただし、もし今後日本で事業活動や不動産投資を行えば、その分は日本でも課税対象となります。
大谷翔平の「後払い契約」は税務的にも理にかなっている
今回の契約で注目されたのが、「年俸の大部分を10年後以降に受け取る」という後払い方式。
これは単なる“節税スキーム”ではなく、税負担を分散しつつ、チームの資金繰りにも配慮した合理的な設計です。MLBでは球団に年俸の上限が決められており、上限を超えた場合には”贅沢税”が課される仕組みとなっていますので、球団が毎年100億円を大谷選手に支払うことになるとこの贅沢税が課される可能性が高いわけです。
税務的には、将来受け取る金額に対して課税されるのは「実際に受け取った時点」。
つまり、現時点では税金がかからず、将来の為替や税制の変化に合わせて受取を調整できる余地があるというわけです。
また、米国の高所得者向け税制は頻繁に改正されるため、今後の政治情勢次第では税率が変わる可能性も。そうしたリスク分散を含め、極めて戦略的な契約といえるでしょう。
経営者が学ぶべき「税金の設計力」
もちろん、ここまでのスケールで税金を動かせるのは一握りのトップアスリートだけです。
しかし、「どこで所得を発生させるか」「いつ課税されるか」を意識するという発想は、中小企業の経営にも十分応用できます。
たとえば・・・
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法人化のタイミングを調整して税率をコントロールする
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経費や役員報酬を戦略的に設定してキャッシュを残す
といった基本を意識するだけでも、結果は大きく変わります。
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税金の世界は「知っているかどうか」で結果が変わる世界です。
大谷翔平選手のような国際的な事例からも、税務設計の重要性は明らかです。
あさひせと税理士法人では、経営者のキャッシュを守る税務戦略を重視し、中小企業の資金計画・節税・経営支援まで一貫してサポートいたします。
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