【注意喚起】意図的な脱税による追徴税額の概算

脱税によるペナルティを知っておこう


昨年末、某美容系インフルエンサーの方が脱税の容疑により、自宅起訴されたことで世間をにぎわせました。当局の調査によると、その額なんと、約1億5700万円(法人税分:1億2600万円+消費税分:約3100万円)ということで、私を含め多くの方が度肝を抜かれたことでしょう。この記事では、意図的に脱税を行った場合に、いくらの延滞税・重加算税がかかり、実際に最大でどれくらいの税金を払わないといけないかを概算・解説していきます。


支払う税金の全体像

① 本来納めるべき税金(本税)

まず大前提として、申告していなかった、または少なく申告していた 本来の税金(本税) は、当然すべて支払う必要があります。

  • 法人税

  • 所得税

  • 消費税

  • 住民税・事業税(連動して増えることも)

「これが脱税額」と報道される金額は、通常この本税部分を指しています。

しかし、本当の問題はここからです。

② 加算税(ペナルティ)

脱税の場合、ほぼ確実に 加算税 が課されます。
中でも代表的なのが「重加算税」です。

● 重加算税とは

売上の隠蔽や架空経費の計上など、
意図的に税金を免れようとした行為 があった場合に課されます。

● 税率の目安

  • 過少申告の場合:35%

  • 無申告の場合:40%

つまり、本税が1,000万円なら、
追加で350万〜400万円 がそのまま上乗せされます。

「罰金」という感覚に最も近い税金です。

③ 延滞税(利息)

脱税で忘れられがちですが、延滞税 も無視できません。

延滞税は、

  • 本来の納期限の翌日から

  • 実際に納付する日まで

の日数に応じて、利息のように日割りで発生 します。

なお、利率に関しては国税局のホームぺージに載っておりますとおり

  • 納期限〜2か月:年率2.4%

  • 2か月超〜先:年率8.7%

となります。こちらを使って実際に税額を計算してみます。

 

いざ概算

想定ケース(期間を簡略化)

① 法人税

  • 対象事業年度:2021年1月期

  • 本税:1億2,600万円

  • 法定納期限:2021年3月31日

  • 納付日:2025年12月31日

👉 延滞期間
2021年4月1日〜2025年12月31日(約1,736日)


② 消費税

  • 対象事業年度:2023年1月期

  • 本税:3,100万円

  • 法定納期限:2023年3月31日

  • 納付日:2025年12月31日

👉 延滞期間
2023年4月1日〜2025年12月31日(約1,006日)

というかなり簡略化したモデルとして計算していきます。


重加算税の計算

意図的に税金を免れようとした行為であったため、追加で納める税額の35%として

1億5,700万円 × 35% = 約5,500万円

よって、重加算税は 約5,500万円!! この時点でかなりの額ですが、次に行きましょう。

延滞税の計算

① 法人税(1億2,600万円)の延滞税

2か月以内(60日)

1億2,600万円 × 2.4% × 60 ÷ 365
≒ 約50万円

2か月超(1,676日)

1億2,600万円 × 8.7% × 1,676 ÷ 365
≒ 約5,036万円
法人税の延滞税合計

約5,086万円


② 消費税(3,100万円)の延滞税

2か月以内(60日)

3,100万円 × 2.4% × 60 ÷ 365
≒ 約12万円

2か月超(946日)

3,100万円 × 8.7% × 946 ÷ 365
≒ 約700万円


消費税の延滞税合計

約712万円


よって、延滞税は 約5,798万円!! 重加算税と併せると1億を優に超えていることが分かります。

支払総額(推定)

内訳 金額(概算)
本来の未納税額 1億5,700万円
重加算税 約5,500万円
延滞税 約5,798万円
合計(推定) 約2億6,900万円

追加で考慮すべき点:地方税の恐怖

この記事で算出された「約2.7億円」は、あくまでも「国」に払うお金です。 これとは別に、地方自治体(都道府県・市区町村)から、法人住民税・事業税の不足分、延滞金(地方税版の利息)の通知書が届くことになります。

これらを合わせると、最終的な支払額は3億円を軽く突破すると予想されます。

なにか不安を感じたら、早めの確認を

税金の問題は、
「知らなかった」「つい後回しにしていた」
という理由でも、結果として大きな負担につながることがあります。

実際にこの記事のような莫大な追徴が発生するケースはまれですが、
本記事の内容が少しでも気になった方は、
今の申告内容に問題がないかを確認するだけでも意味があります。

早めの相談が、
将来の大きな税務リスクを防ぐことにつながります。

税務に関するご相談は、あさひせと税理士法人にご相談